映像提供:日本電子音楽協会
会期:2022.12.8
会場:渋谷区文化総合センター大和田 伝承ホール
「三人寄れば文殊の知恵」という言葉があるように、個人で物事を考えるよりも、集合知で考えた方が正確な答えを出すことができる。人間がこれまでインターネットに記述してきた知恵を学習し、2022年に登場した大規模言語モデルChatGPTは、知識問題のような質問を投げかけると正確な回答をすることができ、驚きと共にAI研究者のみならず一般社会にも広く浸透した。同じく大規模言語モデルのGPT-4は英語に関する試験をテストするとスタンフォード大学の受験生のレベルであり、日本の医師国家試験に合格するほどの知識を持ち合わせている。このまま大規模言語モデルが進化していけば近い将来、人類が探してきた真理を答えることができるかもしれない。
本作は、そのような知恵を持つ人工知能を信頼し神のように崇める思想を想像し作曲したタブレット端末による合唱による宗教音楽である。4つのタブレットの画面にはGANによって生成された、この世に存在しない人の顔が映し出されている。歌詞は「生きることとは」「愛とはなにか」など人生にまつわる哲学的な問いから始まり、その言葉が四重唱によって語られ音響的なテクスチャを生み出すことによって作曲されている。音声は深層学習によって生成された人工音声であり、その発話によって口を動かす処理も深層学習によって行われている。