日時:2021.09.11-8.22
イベント:第15回灯籠絵展示会 ひじおりの灯
肘折ではいたるところで自然災害による破壊や風化の跡が見られ、仮設的に修復された風景がある。本灯籠はそのような状態をイメージして作られた。和紙に描かれた線は、銅山川沿いの傾斜に取り付けられた排水パイプが描く水の軌跡を表現している。湯花が絵具に使用され、重力を使って描かれた。和紙はある面が破られ不完全な状態になっており、そこを「立入禁止」のテープが塞いでいる。これは肘折ダムから地蔵倉へ向かう道にあるお地蔵さんに取り付けられていたテープと同じものである。立入禁止を知らせる役目は終わり、お地蔵さんの衣装のようになっている。この灯籠においても立入禁止の意味は持たないが、仮設的な装いとして機能している。
灯籠から流れる音は肘折で採取した水の音を加工したものである。周波数領域で見て、ある一定の範囲の音量のみに当てはまる周波数の音を抜き出した音である。これは仮設的である不完全な水の音を表している。デジタルな響きであるが水のリズムを感じさせる。